毎月発行 禅源寺通信

No.08

薫風自南来 殿閣生微涼

薫風自南来 殿閣生微涼

(くんぷうじなんらい でんかくびりょうをしょうず)

 
風薫る良い季節となりました。私の通っていた花園大学には、坐禅堂の前に伝道掲示板があり、一年生の五月にこの語を読んで感動した思い出があります。高校時代、悩みながらも、御本山の京都、花園大学に進学しました。御本山の寮「花園禅塾」に入寮し、朝の勤行、坐禅、食事作法の習得と解らないことだらけの生活のうえ、叱られることばかり、さらに、夕方六時の門限、その後、夜の坐禅やお経の習得、と息つく暇もない精一杯の生活を強いられていました。そんな時、この語を初めて読み、何故か心惹かれるものがありました。
この語は、五月の新緑を通ってくる風が、心地よく感じられ、心が涼やかになるという意味です。五月という時期は新年度から少し慣れ不都合なことも少しずつ出始めてくる反面、新しい生活に、どこか一陣の心地よいそよ風が吹いてくる頃かもしれません。新しい世界にわくわくしながら、視野を広く持って毎日を過ごしたいものです。