毎月発行 禅源寺通信

No.09

法句経

どんな悪もなさず(諸悪しょあく莫作まくさ

あらゆる善いことをし(しゅうぜん奉行ぶぎょう

おのおの心を清くする(自浄じじょう

それが仏の教えである(諸仏教しょぶっきょう

法句経

キリスト教には聖書、イスラム教にはコーラン、というのに対し、仏教にはたくさんの仏典があります。しかし、仏教の教えの中核を貫いているのは、今生きている私たちが、どのように生活すれば心安らかに過ごせるのかということです。昔、中国に白楽天という方がおみえになりました。白楽天は禅僧に、仏教の要を教えて欲しいと頼みました。そこで、禅僧は先の四句、悪いことはせず、善いことだけをすることだ、とお説きになりました。それは三歳の幼子でもわかっているような簡単なことではないか、と白楽天が反論すると、禅僧は「三歳の幼子でもわかっているが、八十歳の老人ですら、きちんと実践することは難しい」と諭されました。白楽天は、ただただ頭を下げるばかりだったそうです。仏教は実践の宗教です。何が悪いことで、何が善いことかは、自分が一番わかっているのではないでしょうか?理屈をこねるのではなく、毎日確実に善いことを行っていくことが安心への道です。